乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

子供でもわかる『福島大野病院事件』

2008年02月28日 | 福島県立大野病院事件
2年前のマスコミの報道の際、「経験のない医師」が「無理矢理胎盤をはがした」事件だとの印象を私は強く持ちました(餅は餅屋に )。ある医師が事件の成り行きを子供に語る形式で書かれた記事を、よっしぃ先生のブログで見つけたので紹介します。
子供でもわかる『福島大野病院事件』

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あるところにね、お腹の大きいお母さんがいたの。

そのお母さんには一人、もう子供がいてね、二人目の子がお腹の中に入ってたの。
一人目の子供はね、お母さんのお腹を切って、お医者さんにとりあげてもらったんだって。

で、そのお母さんはね、次の子を産む時も、同じようにお腹を切って、赤ちゃんをとりあげてもらったの。
赤ちゃんは元気に産まれてきて、良かった!おめでとう!ってなったんだけど、そのあと、お母さんのお腹から血が出て、止まらなくなっちゃったの。
シャワーみたいにすごい勢いで血が吹き出して、大変なことになったんだって。

それで、なかなか血が止まらなくて、とうとう、そのお母さんは死んでしまったの。

そしたら、そのお腹を切ったお医者さんは警察に逮捕されたんだよ。

そのお母さんが死んだのは、そのお医者さんのせいだ、お医者さんがそのお母さんを殺した、って。

そのお医者さんはね、頑張って血を止めようとしたんだって。
でも、止まらなかった。止められなかった。

そういう時に血を止めるにはね「子宮」っていう、赤ちゃんが入ってた袋を全部、取ってしまうのが一番いいんだよ。

だけど、そのお医者さんは、その前に、そのお母さんと話をしてたんだって。

「あともう一人、子供を産みたいです」ってそのお母さんは言ってたんだって。

お腹を切ったお医者さんは、そのことをおぼえてたんだって。

そのお母さんはね、3人の子供が欲しかったんだろうね。
3人子供がいる、5人家族になりたかったんだろうね。

でも、子宮を取っちゃったら、もう子供を産めなくなっちゃう。

赤ちゃんをとりあげたあと、お腹から血が止まらなくなったとき、すぐに子宮を取れば、血が止まる。
でも子宮を取ったら、3人目はもう絶対、産めない。
だからお医者さんはギリギリまで子宮を取らないで、なんとか血を止めようと頑張ったんだって。

でも、血がどんどん出てくるのを止められなくて、とうとう最後には子宮を取ったんだけど、遅すぎて、そのお母さんは死んじゃった。

警察は、もっと早く子宮を取ってればそのお母さんを助けられたのに、子宮をなかなか取らなかったお医者さんが悪い、って言って、お医者さんを逮捕して牢屋に入れたんだよ。
警察はね、別のお医者さんに聞いたんだって。

「こんなことがありました。どうしたら、このお母さんを助けられたと思いますか」って。

きかれたお医者さんは「もっと早く子宮を取っていれば、助けられたと思います」って答えて、紙にもそう書いて、警察にあげたんだって。

でもね。

その、別のお医者さんは、そのお母さんとお話、してないからね。
そのお母さんが「もう一人、赤ちゃんを産みたいです」って言ってたの、知らなかったのかも。

だけど、警察はその紙をもらって、そのお母さんが死んだのは早く子宮をとらなかっ
たお医者さんのせいだ、って逮捕しちゃった。

死んじゃったお母さん、かわいそうだね。
生まれたばかりの赤ちゃんと、もう一人の子供を残して、死にたくなかっただろうね。
お母さんが死んじゃって、子供たちもかわいそう。

だけど、そのお母さんが死んだのは、ぜんぶお医者さんのせいだ、っていうのは、まちがってる。

どんなお医者さんでも、ぜんぶの人を助けられるとは限らない。

悲しいことだけど、お医者さんがどんなに頑張っても、助けられない命が、あるんだよ。

今、日本中で、赤ちゃんをとりあげるお医者さんが少なくなってきてるの。
お腹の大きいお母さんから、赤ちゃんをとりあげる時に、大変なことはいっぱいあって、みんながみんな、無事に産まれるとは限らないし、産んだあとも無事とは限らないの。

でも、それは、全部、お医者さんのせいだってわけじゃないんだよ。

お医者さんが一生懸命に頑張っても、助けられないこともあるんだよ。

お母さんか赤ちゃんかが死んだ時に、そのとりあげたお医者さんが逮捕されて牢屋に入れられちゃうんだったら、赤ちゃんをとりあげるお医者さんがもうとりあげるのをやめたり、赤ちゃんをとりあげるお医者さんになる人が、いなくなったりするんだよ。

でもそれで困るのは次に「赤ちゃんを産みたい」っていう人なのにね。

お医者さんが、わざと殺したんじゃないんだから、逮捕して牢屋になんか入れないで欲しいよ。

赤ちゃんをとりあげる仕事って大事で、それをするお医者さんがいないのって、とっても困るのにね。

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この話を読むと、大変難しい問題を含んでいたことがわかります。

自分がお亡くなりになった妊婦さんの親、子供、そして夫の立場であったなら、新生児より母体を助けてと医師にお願いするでしょう。
で、妊婦さんご本人は、もう一人子供が欲しかった。(しかし、自分が死んでしまうかもしれない状況に陥ったら、子供より自分を優先する選択を取るか、、、はこの話および実際に起こった時には不明である)

この話から、被告となった医師がためらったのは、子宮の全摘出でしょう。そこには母体である妊婦さんの、意思や希望が詰まっている。

ギリギリまで頑張って、母体の命も子宮も、そして彼女の未来までも、この医師は何とか守ろうとしたんじゃないでしょうか?

彼女とその家族、更には両親まで、出産についてどのぐらいどんなことを事前に話していたのでしょうか。
自分が乳がんの手術を受けるにあたり、身辺整理をし、財産の隠し場所を示した書を机に入れてから病院に行ったことを思い出しました。医療事故というより、薬でショック死もあり得るかなと思って。


ブログでよっしぃ先生は、
医学とは、機械でないひとりひとり全く同じでない人間を扱う、不確かな学問。
同じ病気の人に、同じ医療行為を行っても、まったく同じ経過をたどることはない。多くは、似た経過をたどることが多いが、中には全く異なる経過をたどることがあると述べています。

また、
医者は、あらゆる事を考えてその時考え得るベストな選択をする。
その時ベストであったとしても、2時間後の状況でベストかどうかはわからない。なぜなら、状況は、時々刻々とかわっているからであり、新たな情報も加わってくるからとも述べています。


出産をひかえた妊婦さんが言った希望を記憶していた現場の担当医師。
情報が全部そろった状況下の周囲の人や裁判関係者。

裁判では、当事者個々の心情は平たくされるものなんでしょうか。公平に平たくなっていますか?
心情を報道するのは大変むずかしい。報道の公平性ってどういうことでしょうか?


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1 コメント

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Unknown (yuko)
2008-02-28 22:36:06
分かりやすいお話ですね。
そういうことだったのですか。

現場での、その場その場の判断がすべて適切か、と後から判断材料を全部揃えて検証されたら、どんなお医者様でも耐え切れないのではないでしょうか。
また、そこまで完全無欠を求めていくのは、やりすぎではないかと思えます。
普通、裁判となると
一瞬一瞬の判断をひとつずつ検証していく作業があるのでしょうね。

これは、正義を追求することでしょうか。
医療側の怠惰で治療を受けられなかったケースなどとは全く違うわけですから。
がんばって手術しているときの、医師の判断自体を裁くわけでしょう。。
これは裁判にはなじまないのでは。

最善を尽くしても後から見れば、適切ではなかった可能性があるときに、それを責められると、当事者は萎縮してしまう。
難しい手術は敬遠したい、という気持ちになるのではないかと危惧します。

医師と患者側が対立関係になるのは不幸なことです。
訴える側には何があったのでしょう。
事情がよく分かりませんが、出産には危険が伴うし、100パーセントの安全はない、ということの理解はあるのでしょうか。

警察がとりあげ、検察庁がなぜ起訴したのか。違法性があると判断したのは別の医師の意見を採用したからですね。
ひとりの医師の意見でなく、何人かの医師からの意見を聴取して、起訴するぐらいの慎重さがほしかったと思います。

すぐに何でも裁判をする時代。何か閉塞感を感じるのは私だけでしょうか。





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